「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」「どれだけ寝ても疲れが取れない」など睡眠に関するお悩みを抱えていませんか?
このような睡眠の悩みは、入眠前に摂取する飲み物に気をつけたり、日々の生活習慣を見直したりすることで解決できる場合があります。
そこでこの記事では、睡眠の質を上げる飲み物や眠りにつきやすくなる行動について解説します。良い睡眠は、脳と身体の疲労回復や免疫機能の向上、記憶の整理などに効果的です。睡眠の質が低下すると心身に悪影響が生じ、慢性疲労や集中力低下などの原因につながります。睡眠についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠の質を上げるには水分補給が必要
入眠前の水分摂取は、睡眠の質を高めるのに効果的です。自然な眠りを促すためには、睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」が欠かせません。眠る前に飲み物を飲むと、身体の奥深くの温度が下がりメラトニンが活発になるため、深い睡眠に入れます。
またメラトニンは、副交感神経を優位にするホルモンです。副交感神経は心身をリラックスさせ、休息状態へと導く役割があります。疲労回復や心身を整えてくれるため、寝る前に飲み物を摂ることは、良質な睡眠に大切です。飲むタイミングは、眠る1〜2時間前を目安にするのが良いでしょう。
睡眠の質を上げる飲み物5選
「どんな飲み物が睡眠に効果があるのか分からない」という方はいらっしゃるでしょう。ここでは、良い睡眠をサポートしてくれる飲み物を5つ紹介します。睡眠の質を上げたい方はもちろん、寝つきの悪さに悩む方にもおすすめです。ぜひ参考にご覧ください。
1. 白湯
寝る前に白湯を飲むと胃腸が温まり、副交感神経が刺激されます。眠りに入りやすくなるのはもちろん、心身のリラックス作用が期待できるため、睡眠の質を上げる飲み物としておすすめです。
白湯を飲むと血液の流れが良くなり、体内に蓄積された老廃物が排出されやすくなります。そのため、むくみや便秘の解消にも効果的です。白湯の温度は、体温よりもやや高めの50℃前後が最適です。
飲みすぎると睡眠時にトイレが近くなってしまうため、コップ1杯(200ml程度)を目安に一口ずつ飲むのが良いでしょう。
2. ホットミルク
ミルクに含まれるトリプトファンという成分は、睡眠を促すメラトニンの原料になる必須アミノ酸の一つです。またミルクには、交感神経の働きを抑制するカルシウムが豊富に含まれています。
トリプトファンが不足すると、メラトニンを作る栄養素が不足するため、睡眠の質を妨げる原因につながります。寝る前にホットミルクを飲むと、心身がリラックスしてスムーズな入眠が期待できるでしょう。
3. ハーブティー
ハーブティーには自律神経を整え心身の緊張を和らげる作用があるため、ストレスによる不眠の方におすすめです。ハーブティーには様々な種類がありますが、なかでもカモミールやルイボスティーはリラックス効果が期待できます。
ハーブティーはノンカフェインなので睡眠に影響がなく、寝る前でも気兼ねなく飲めるのもポイントです。また、カモミールには消化促進や鎮静作用があります。ストレスによる心身の疲れや緊張をほぐすだけでなく、胃腸不良や生理痛の緩和にも効果的です。
4. ホットジンジャー
「手足が冷えてなかなか寝つけない」という方には、ホットジンジャーがおすすめです。生姜には、血流を促し身体を温める「ショウガオール」という成分が多く含まれています。
寝る1〜2時間前に生姜を摂取し体温を上げておくと、睡眠前のリズムが整い自然に眠気が生じやすくなります。ホットジンジャーに入れる生姜の量は、コップ1杯に対して小さじ1程度を目安にしましょう。市販のチューブタイプやジンジャーシロップを使うと便利です。
5. トマトジュース
寝苦しい夏場など、体内に熱がこもって寝つきが悪いときにはトマトジュースがおすすめです。トマトには身体の余分な水分を排出するカリウムが含まれており、体温を下げる作用があります。
また、メラトニンが含まれているため、スムーズな眠りをサポートし睡眠の質の向上が期待できます。注意点として、トマトジュースを飲みすぎると身体が冷え、消化不良を起こす可能性があります。コップ1杯程度を目安に、就寝2時間前までに摂取するのが良いでしょう。
睡眠の質を下げてしまう飲み物
飲み物の中には摂取すると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりするものがあります。特に「カフェイン」と「アルコール」は、睡眠の質を妨げる代表的な飲み物です。なぜカフェインとアルコールを寝る前に控えるべきなのか、理由についてお話しします。
カフェイン飲料
カフェインには神経を興奮させ覚醒を促す効果があるため、睡眠前の摂取は控えるのが良いでしょう。カフェインを含む飲み物には、次のようなものがあります。
- コーヒー
- 紅茶
- 緑茶
- コーラ
- 栄養ドリンク など
カフェインには利尿作用があり、夜中に目が覚めてしまい睡眠の質の悪化につながります。睡眠の質を上げるためには、夕方以降の摂取は控えるのが良いでしょう。
アルコール飲料
「寝つきが良くなる」という理由で、ビールや日本酒、ウイスキーなどを就寝前に飲む方はいるでしょう。飲酒後に眠たくなるのは、肝臓が処理しきれないアルコールが脳に達し、神経に働きかけ鎮静作用をもたらすからです。
しかし、数時間経過すると血中アルコール濃度が徐々に低下し、鎮静作用がなくなります。夜中に目が覚めたり、眠りが浅くなったりして睡眠の質の低下につながります。寝る直前には、飲酒を控えるのが良いでしょう。
飲み物以外で睡眠の質を上げる方法
眠りの質を高めるためには、生活習慣の見直しも大切です。ここでは、日常生活の中で睡眠の質を上げる方法について解説します。紹介する項目の一つだけでも取り入れて、睡眠の質をあげましょう。
寝る3時間前には夕食を済ませる
人が食べ物を消化するまでには、3時間ほどかかるといわれています。寝る直前に食事すると、身体が消化活動を優先し眠りが浅くなってしまいます。睡眠の質を上げるためには、寝る3時間前までに食事を済ませておくことがポイントです。
どうしても食べる時間が遅くなる日は、スープやお粥など消化に良いものを選ぶと良いでしょう。脂っこい食事やスパイスの効いた食べ物は胃腸を刺激し、眠りの質に悪影響を与えます。スムーズな眠りを促すためには、胃腸に負担のかからないものを選びましょう。
就寝1~2時間前に入浴する
睡眠の質を上げる入浴方法は、就寝の1〜2時間前に38〜40℃程度の湯船にゆっくり浸かることです。深部体温が下がると自然に眠気が促されるため、入浴で一時的に体温を上げておきましょう。就寝のタイミングで体温が下がり、スムーズな入眠へつながります。
ただし、42℃以上のお湯に浸かると交感神経が刺激され、心身が興奮状態となってしまうため注意が必要です。
就寝しやすい環境を作る
一般的に寝心地の良い室温は、20℃前後で湿度は50%程度といわれています。湿度の高い梅雨や夏場は、除湿をすると寝苦しさを軽減できます。冬は乾燥するため、洗濯物を干したり保湿マスクを付けたりするなど加湿を心がけましょう。
乾燥による喉の痛みや肌荒れを防ぎ「朝起きると喉が渇く」といった寝覚めの悪さを予防できます。就寝前にスマホの画面を見ると脳が覚醒し、睡眠を妨げることにつながるため注意が必要です。
生活リズムを整える
良い眠りは、目覚めの質と関係しています。夜の寝つきを良くするためには、毎朝同じ時間に起き、日光を浴びることが大切です。朝日を浴びると睡眠を促すメラトニンが抑制され、脳を覚醒させるセロトニンが分泌されます。
セロトニンは夜になるにつれて減少し、メラトニンへと変化していきます。睡眠の質を向上させるには、ホルモンバランスを整えることが大切です。毎朝の日光浴を習慣化すれば目覚めのホルモンが分泌され、夜になると身体が睡眠の準備を始め、生活リズムが自然に整います。
適度に運動する
運動は身体の代謝を促し心身の緊張を和らげるため、睡眠の質を上げる良い方法です。ただし、就寝前に激しい運動をすると、脳を活性化させるアドレナリンが分泌され、交感神経を刺激します。寝つきが悪くなるため、夕方から寝る3時間前までには激しい運動を終わらせましょう。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、身体への負荷が少なく、無理なく続けられます。深い呼吸を繰り返すと、血液やリンパの巡りが改善し副交感神経が高まります。睡眠の質が上がり、疲労回復にも効果的です。
睡眠の質を高めるには自分に合った方法を試そう
寝不足が続くと身体だけでなく、精神面にも不調があらわれます。毎日を健康に元気に過ごすためには、睡眠を味方につけることが大切です。
睡眠の悩みは、日々の生活習慣を見直すことで改善につながります。寝る前に睡眠を促す飲み物を摂ることは、眠りの質を向上するのにおすすめです。就寝前のアルコールやカフェインは控えて、白湯やハーブティーに変えてみるのが良いでしょう。
また規則正しい睡眠習慣は、快眠を促すために心がけたいことの一つです。ご自身に合った睡眠改善法を見つけて、健やかな毎日を手に入れましょう。