両手を頭の位置に上げた姿勢で寝る「バンザイ寝」。バンザイ寝をすると肩こりの悪化をはじめ、寝たはずなのに疲労感が取れない、猫背になるなど、さまざまな不調を引き起こすリスクがあります。
また寝るときは通常の体勢だったとしても、寝ている間にバンザイの姿勢を取ってしまっている人も珍しくありません。睡眠の質を高めるためには、、バンザイ寝を早めに改善する必要があります。
そこでこの記事では、バンザイ寝の原因やリスク、バンザイ寝を止めたい人が改善する方法を紹介します。
バンザイ寝をしてしまう原因とは?
バンザイ寝をする原因として、肩こりや背中の疲れ、猫背により呼吸が浅くなっていることが挙げられます。
特にデスクワークをしている人や、長時間スマートフォンを使用している人は、姿勢が悪くなり猫背や巻き肩になりがちです。姿勢が悪くなると肩がこるだけでなく、背中の筋肉が固まってしまいます。猫背や背中のこりは横隔膜を圧迫して肺が伸縮しづらくなり、呼吸が浅くなってしまう原因となります。
無意識にバンザイの姿勢になるのは、胸や背中とその周辺の筋肉がストレッチされた状態になり、肩や胸の周りが楽になるからです。
なお、バンザイ寝をする人が多いのは、デスクワーカーや長時間スマートフォンを使用する人だけではありません。よく車の運転をする人、肩や腕を使って仕事をする人、ストレスを抱えている人、鼻がつまっている人、肥満の人などもバンザイ寝になりやすいので注意が必要です。
バンザイ寝をするリスク
バンザイ寝には、肩こりや冷え性が悪化したり、疲れが取れなくなったりするほか、睡眠時無呼吸症候群になってしまうリスクもあります。
肩こりや冷え性が悪化するのは、バンザイ寝が血行不良を招くからです。そもそも肩や背中のこりを楽にするために両手を上げた姿勢を取るはずなのに、悪化してしまったら意味がありませんよね。
また、バンザイの姿勢になると筋肉がゆるみ呼吸が楽になったように感じますが、寝ているときに呼吸が浅くなりやすく、疲労感が取れなくなります。呼吸が浅くなると、酷い場合は睡眠時無呼吸症候群につながってしまうのです。
ここからは、バンザイ寝にはどのようなリスクがあるのか、詳しく確認していきましょう。
血行不良によって肩こり・冷え性の悪化
バンザイ寝は一見楽に感じますが、実は肩こり・冷えの悪化につながります。バンザイ寝の姿勢になると、肩から指先にかけての血管が伸び細くなってしまうからです。
血管が細くなると血液やリンパが流れにくくなり、血行不良を引き起こします。血行不良は必要な部分に血液が行き渡らなくなるため、筋肉を硬くしたり肩こりを悪化させたりします。
また、血液が行き届かなくなると指先が冷えて冷え性になる可能性も。特に冬は手先が布団から出て冷えやすくなるため、冷え性が悪化しやすくなります。
さらに血管が細くなりリンパの流れも悪くなることで、老廃物が溜まってむくみやすくなるリスクもあります。
疲労感が取れなくなる
両腕を上げた状態で横になっていると、顎で圧迫されて気道が狭くなるため、呼吸が浅くなってしまいます。呼吸が浅くなると体全体に回る酸素量が減り、疲労感が取れなくなってしまうのです。
体が疲労回復や筋肉の再生をするためには、酸素が必要です。体内に取り入れる酸素が減ると体内のあらゆる機能が阻害されるため、疲労感が取れません。
毎日睡眠時間はしっかり取っているはずなのに、朝起きると思ったほど疲労感が取れていない場合は、バンザイ寝をしている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群になる可能性がある
前述の通り、バンザイ寝は気道が狭くなって呼吸が浅くなるため、いびきをかきやすくなります。その状態が悪化すると、睡眠時無呼吸症候群を引き起こしかねません。
睡眠時無呼吸症候群は一晩で1時間に5回以上、もしくは7時間に30回以上にわたり、10秒以上呼吸が停止することがある状態のことです。呼吸が停止すると体に回る酸素量も少なくなり、脳や体にさまざまな影響を与えます。
夜熟睡できなくなるだけでなく、日中強烈な眠気に襲われる、記憶力や集中力が低下する、臓器に影響を与えて高血圧・心臓病といった病気のリスクを上昇させるなどの可能性があるため早めに改善したいものです。
バンザイ寝を改善する方法
バンザイ寝を改善するには、肩こりや背中のこり、姿勢の悪さを改善するように意識しましょう。肩周りの血流をアップさせたり、寝るときの姿勢を考えてみたりするのが効果的です。具体的にどのような方法があるのか確認してみましょう。
ストレッチを行う
デスクワークをしている人や長時間スマートフォンを使用している人は、筋肉をほぐすためにストレッチを行うのが効果的です。肩と背中のストレッチを中心に行いましょう。
肩と背中のストレッチは、まず姿勢を正して椅子に座ったら体の前で手を組み、手のひらを体と反対に向けて腕を肩と同じ高さまで上げます。そのまま真っ直ぐ前方に伸ばしたら30秒程度キープし、その後全身の力を一気に抜きます。
首と肩のこりが取れると肩周りが軽くなり疲労感が取れるため、寝る前など定期的に行ってこりをほぐしましょう。仕事中に1時間に1回程度、軽くストレッチを取り入れるだけでも効果がありますよ。
湯船に浸かる
忙しい毎日を送っていると、時間を節約するために入浴はシャワーで済ませがちですよね。しかし湯船に浸かると肩や背中のこりが取れるうえに、全身の血行もよくなり筋肉がほぐれます。また、リラックス効果も得られるため、睡眠の質もアップします。
ただし、お湯の温度には注意しなければなりません。お湯の温度が高いと交感神経が優位になり、筋肉も緊張状態になってしまうからです。入浴はぬるめのお湯に15分程度浸かるのがおすすめです。
さらに心地よく眠りにつくために、就寝の1時間程度前に入浴を済ませておくこともポイントです。
姿勢を矯正する
常に肩がこっている人は、姿勢が悪い可能性があります。こまめにストレッチをしても肩こりが改善しない場合は、整体や猫背矯正といったプロの施術を受けてみましょう。肩の歪みだけではなく、骨盤からの歪みが改善される可能性があります。
肩こりにアプローチするほか、猫背を矯正するメニューがある整体院を選べば、正しい姿勢を手に入れられます。正しい姿勢を保てるようになると、肩こりが解消されて楽になります。
寝具を見直してみる
バンザイ寝をやめるためには、寝具を見直して見るのも一つの方法です。自分の体に合っていない寝具を使っていて、寝返りがうちにくいために肩こりなどを引き起こしている可能性があるからです。
寝返りには、就寝中の血行を妨げないための役割があります。そのため、スムーズに寝返りがうてる寝具を使用することが大切です。
例えば、自分にとって柔らかすぎるマットレスを使用している場合、硬めのマットレスに変えるだけで肩こりが改善されることもあります。寝たときに体の一部に力が入ってしまわないか、腰が沈んでいないかなどをチェックしてみましょう。
また、高さを調節して自分の体に合った枕を作れる、タオル枕を取り入れてみるのもおすすめです。
ストレッチと姿勢改善でバンザイ寝を改善しよう
バンザイ寝は楽な寝姿勢に見えるものの、実は血行不良や疲労感、睡眠時無呼吸症候群といったさまざまなリスクがあります。
バンザイ寝をやめたい人は、ストレッチや湯船に浸かって血流をよくするほか、プロの施術を受けてみたり、寝具を見直してみたりするのがおすすめです。
特に、快適な睡眠を取るためには、自分に合った寝具を選ぶことが大切です。適度な硬さのマットレスを使用したり、タオル枕を取り入れてみたりなど、工夫してみましょう。