1時間だけ寝るのとオールするのは、どちらがいい?徹夜をする際の注意点も確認

「仕事で遅くなってしまった」「明け方まで飲んでしまった」というときに、「中途半端に寝るより起きていたほうがいいのかな」と悩まれたことがある人もいるでしょう。どうしても徹夜しなければならないときには、ほんの少しでも仮眠をとることをおすすめします。仮眠の効果を高めるには、寝るときの「体勢や環境」と「時間」がポイントです。


ここでは、徹夜が心身に与えるダメージを踏まえつつ、適切な仮眠のとり方や徹夜明けの過ごし方をなどを解説します。眠れないときの過ごし方も紹介するので、ぜひ試してみてください。

徹夜(オール)はNG。おすすめは短い仮眠

基本的に徹夜はおすすめしません。徹夜は思っている以上に体に負担をかけるからです。睡眠をとらないと体が休まらず、翌日に強い眠気を感じたり、集中できなかったりするでしょう。ほんの少しでも仮眠をとっておくと、睡眠不足が和らぐため翌日に活動しやすくなります。


睡眠は、日中の活動により疲れた体を休める時間です。寝ている間は成長ホルモンが分泌され、疲労を和らげてくれます。しかし、徹夜すると成長ホルモンが分泌されないため、疲労が回復しません。


脳を休ませるためにも睡眠は大切です。徹夜で睡眠不足だと、脳が十分に働かず精神的に不安定になり、翌日の記憶力や学習力に影響します。また、体の各部分を動かす指令は脳が出しているため、徹夜明けにケガをするリスクも高まります。


寝ないと人はどうなる?

2晩以上完全な徹夜を続けると、身体的に大きな問題はなくても精神的にはかなり危険な状態に陥ります。ギネスブックには、264時間12分の断眠記録が記載されていますが、ギネスブックは、以降の断眠に関する記録を認めていません。断眠による健康に及ぼす影響は、非常に大きいためです。


実際、過去にギネス記録が登録されたときには、断眠2日目から「目の焦点が定まらなくなる」「集中力をなくし、怒りっぽくなる」という状況が見られました。さらに断眠を続けるにつれ、「ろれつが回らなくなる」「記憶が欠落する」など、まともに生活できない事態に発展しています。

理想的な仮眠の長さは90分

理想的な仮眠の長さは90分と言われています。眠ってから90分後には、眠りの浅い「レム睡眠」の時間帯に入っているためです。そのため、90分サイクルで睡眠を取ると、すっきりと目覚められるでしょう。


睡眠にはサイクルがあり、1サイクルはおよそ90分です。90分の間には、まず「ノンレム睡眠」の状態になり、次にレム睡眠の状態に入ります。ノンレム睡眠では脳まで休んでいますが、レム睡眠では脳が起きている状態です。レム睡眠では、脳が活発に働いており、記憶の整理や定着が行われています。


仮眠は90分単位で、可能なら3時間、4時間半というように眠る時間を増やすとよいでしょう。睡眠時間が増えるほど1サイクル中のレム睡眠の割合が増え、目覚めやすくなります。


徹夜しなければならない時の注意点

徹夜は心身にとって危険です。しかし、夜勤などで、どうしても徹夜しなければならない人もいるでしょう。以下では、徹夜しなければならないときの注意点を解説します。適切に仮眠をとって、徹夜を乗り切りましょう。

徹夜をするなら、仮眠をとる!

前もって徹夜しなければならないと決まっているときは、日中に仮眠をとりましょう。前日に仮眠をとっておくと、翌日の脳や体へのダメージを軽減できます。


徹夜中にも15分〜20分を目安に仮眠をとるようにしましょう。徹夜中の仮眠のポイントは、ベッドなどには入らず快適すぎない環境で眠ることです。机に突っ伏して寝る、椅子の背もたれに体を預けて目を閉じるなど、少々無理のある体勢で眠るとよいでしょう。快適な環境で眠ってしまうと、体がしっかり休憩しようとするため、すっきりと起きられません。目覚ましに気付かず、そのまま朝まで眠ってしまう人もいます。


なお、徹夜明けの日にも15分〜20分の仮眠をとると、夜まで活動する体力を維持しやすくなります。


眠くなってもカフェインは取らない

徹夜中にはカフェインの入った飲み物を避けましょう。カフェインには、交感神経を優位にさせ目覚めを促す作用があります。しかし、徹夜中にカフェインを摂ると、無理矢理目を覚まさせている状態になり、疲労が蓄積して仮眠の質が悪くなってしまいます。できる限りノンカフェインの飲み物を選び、仮眠の質を高めてください。


徹夜の翌日も、カフェインを摂るタイミングによってはスムーズに眠れない恐れがあります。カフェインを含む飲み物は、夕方以降の摂取を避けましょう。

朝は日の光を浴びる

徹夜で寝ていなくても、朝は太陽を浴びて体を目覚めさせ、体内時計を整えましょう。光を浴びると睡眠を促す作用を持つ「メラトニン」の働きが抑えられ、眠気が軽減されます。


メラトニンは、「睡眠ホルモン」とも呼ばれる物質です。目覚めて光を感じてから14〜16時間ぐらい経過すると、メラトニンが自然に体内から分泌され眠気を感じます。つまり、朝の決まった時間に太陽光を浴びると、体が目覚めるだけではなく夜もしっかり眠れるようになるという訳です。


朝食をとる

お腹が空いていなくても、徹夜明けにはなるべく朝食を摂るようにしましょう。朝食にも体内時計を整える効果があります。咀嚼を重視したメニューを選ぶと、顎の動きにより脳が刺激され目が覚めやすくなります。特におすすめの食材は、納豆や魚などのたんぱく質です。


たんぱく質には、トリプトファンがたっぷり含まれています。トリプトファンは、日中にセロトニンに変化し、夜になるとメラトニンへと変換されます。適正な量のメラトニンを分泌させるために、食生活にも気をつけましょう。


徹夜明けの日は早く寝る

徹夜明けの日はしっかり寝て、睡眠不足を補いましょう。思い切って早く寝た方が、翌日のパフォーマンスが向上します。前もって徹夜明けの日の仕事量を控えめに調整しておくと、心置きなく眠れるでしょう。


また、起床時間を一定に保つと体内時計が乱れずに済みます。徹夜明けの日は、いつもの時間に寝て遅く起きるよりも、早く寝ていつもの時間に起きるよう心がけましょう。遅い時間に起きて太陽の光を浴びると、メラトニンが分泌される時間が遅れるため体内時計が乱れる恐れがあります。


定期的に体を動かす

顔を洗う、背伸びをするなど、徹夜中には定期的に体を動かしましょう。椅子に座りっぱなしなど同じ姿勢のままで徹夜を続けていると、血流が悪くなり眠くなってしまいます。血流が悪いと脳の機能が低下し、休息を取ろうとするためです。


ただし、激しい運動をすると逆に眠くなってしまうため注意が必要です。筋トレや走り込みをすると、交感神経が優位になり一時は眠気が覚めますが、疲労が溜まると余計に眠くなってしまいます。


寝れないときは?

少しでも寝た方が良いとわかっていながらも、ベッドに入ってもなぜか寝られないということもあるでしょう。徹夜したくないと思うと、焦りから余計に眠れなくなってしまうかもしれません。以下では、寝られないときの対処法を紹介します。

リラックスさせる

寝床内の温湿度を整えると、リラックスして眠りやすくなります。寝床内の温度は33℃前後、湿度は50%前後の状態が眠りやすいと言われています。冬場は毛布や加湿器など、夏場はエアコンや冷却ジェルマットなどを使って、快適な温湿度となるように寝床の環境を整えましょう。


また、呼吸を整えたり、ツボを刺激したりすると、リラックスして眠りやすくなります。

例えば、頭頂部にある「百会」と呼ばれるツボには、心を落ち着かせる効果があります。


スマホは見ない

スマートフォンやパソコン、テレビなどを見ないで眠気が訪れるまで待ちましょう。寝られないと退屈かもしれませんが、光を感じるとメラトニンの分泌が止まってしまいます。また、気になる情報が目に入ると、脳が覚醒する恐れがあります。


時計を見ると起床までの時間を計算し、焦りや苛立ちを感じるかもしれません。目を閉じているだけでも休息になると割り切って、穏やかに過ごしましょう。


一度ベッドから出る

どうしても眠れないときは、気持ちを切り替えるためにいったんベッドから出てみましょう。「ベッドは眠るための場所ではない」と脳にインプットされると、慢性的に眠れなくなってしまうかもしれません。


ハーブティーやホットミルクなどを飲みながら、本を読んだりしてリラックスして過ごしましょう。なお、お酒には入眠効果がありますが、眠れないときは避けた方が無難です。お酒を飲むと眠りが浅くなり、途中で目覚めてしまう恐れがあるためです。


やっぱり夜はしっかり寝るのが基本!

十分な睡眠は、心身の健康を保つために欠かせません。徹夜の日は、少しでも仮眠をとるよう意識しましょう。可能であれば、仮眠は90分単位でとるとすっきり目覚められますが、15分程度でも構いません。



ただし、基本的に夜はしっかり寝ることが大切です。眠れないときの対処法をいくつか知っておくと、うまく気持ちを切り替えられるでしょう。

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