「1日8時間の睡眠を取った方が健康に良い」という説を聞いたことがある人も少なくないでしょう。
しかし、8時間しっかり寝た場合でも身体にだるさが残る、あるいは8時間未満の睡眠でもスッキリ目覚められるというケースはよくあります。
そこで本記事では、自身にとって最適な睡眠時間の考え方とその判断方法について詳しくご紹介します。
あわせて、睡眠の質を高める方法も解説しますので、熟睡感のある睡眠が取れていない人はぜひ参考にしてみてください。
適正な睡眠時間とは
自分に必要な睡眠時間について、考えたことはありますか?
実は、理想とされる睡眠時間は人によって差があり、年齢によっても変化があるものです。
適切な睡眠時間の考え方について、正しく認識しておきましょう。
人によって適正な睡眠時間は異なる
適正な睡眠時間について、一概に「1日◯時間必要」とは断言できません。というのも、人によって必要な睡眠時間は異なるからです。
また、季節によっても最適な睡眠時間は変化します。なぜなら日照時間に合わせて、夏には短く、冬には長くなると言われているからです。
このように、人や環境によって必要な睡眠時間には差があります。
睡眠環境を整えるためには、「8時間寝るのが健康に良い」という情報を鵜呑みにせず、自分に合った睡眠時間を知ることが重要です。
年代別に必要な睡眠時間が違う
必要な睡眠時間は、年齢に応じても変化します。
一般的には、年齢が高くなるにつれて必要な睡眠時間は減っていくと言われていますが、年代別の最適な睡眠時間は学術的に明らかにされていないのが現状です。
一般的な睡眠時間の平均は、以下のように言われています。
~10歳:8~9時間
15~24歳:約7~8時間
25~49歳:約6~7時間
50~65歳:約6時間
もちろん個人差もあるので、参考程度に覚えておくと良いでしょう。
睡眠は時間だけでなく質も重要
しっかりと睡眠時間を確保していても眠気を感じる場合は、睡眠時間が不足しているわけではなく、睡眠の質が低下している可能性が考えられます。
睡眠で身体を休めるためには、十分な睡眠時間だけでなく、睡眠の質を高めることも重要です。
場合によっては、長時間寝ることでかえって睡眠の質が悪くなることもあります。
たくさん寝ても眠気が解消されないときは、睡眠の質が低下していないか疑ってみましょう。
適正な睡眠時間を取れている状態とは
必要な睡眠時間は、年齢や日中の活動内容によって個人差があるものです。
では、自身にとって適正な睡眠時間は、どのように判断すれば良いのでしょう?
・スッキリ目が覚める
・毎朝決まった時間に目が覚める
・昼食後など、日中眠くならない
これらの項目に当てはまっていれば、適正な睡眠時間を取れている状態と考えられます。
スッキリ目が覚める
適正な睡眠時間を確保できると、眠気を感じることなくスッキリと目覚められるようになります。
私たちが感じる「眠気」は、疲労による睡眠欲求と体内時計の覚醒作用によって、そのバランスがコントロールされています。
しっかり寝て心身を休めると睡眠欲求は減っていき、次第に覚醒作用により活動的になることで目が覚めるのです。
翌朝に眠気を感じることなくスッキリと起きられるのであれば、最適な睡眠時間を確保できていると言えるでしょう。
毎朝決まった時間に目が覚める
目覚まし時計が鳴る前に自然と目が覚めた経験はありませんか?
適正な睡眠時間を確保できていると、睡眠リズムが整って決まった時間に身体が目覚めるようになります。
私たちの身体は、就寝中に自律神経やホルモンの働きを操作して睡眠リズムを維持していますが、規則正しい睡眠リズムを保つには適正な睡眠時間が必要です。
つまり、1日8時間寝なくても身体が自然と目覚める状態を維持できているのであれば、睡眠時間が十分に確保できていると考えて良いでしょう。
昼食後など、日中眠くならない
適正な睡眠時間を取れていると、日中眠くなりにくく、食後の急激な眠気を抑える頻度も減っていくでしょう。
睡眠欲求は、日中の活動による疲労が蓄積することで増加しますが、十分な睡眠時間を取ると翌朝には減少します。
つまり、しっかり寝る時間を確保することで、起床後から日中にかけて眠気を感じにくくなるというわけです。
日中に眠気を感じることなく活動できているのであれば、適正な睡眠時間を取れていると言えるでしょう。
睡眠の質を高める方法7選
睡眠は、時間にこだわるよりも質を高めることを重視しましょう。
なぜなら、睡眠の質を向上させることで、心身の疲労回復効果が高まるからです。
質の高い睡眠とは、具体的には以下のような状態を指します。
・寝つきがよくなる
・ぐっすり眠れる
・寝起きがスッキリしている
眠りやすい環境を作るだけで、睡眠の質はグッと上がります。
これからご紹介する睡眠の質を高める具体的な方法を参考に、まずはできることから始めてみましょう。
朝食はしっかり食べて夕食はタンパク質を摂る
朝食は、身体の目覚めにつながるだけでなく、日中の活動エネルギーにもなります。
エネルギー不足で感じる日中の眠気を予防する効果が期待できるため、積極的に食べましょう。
また、夕食をタンパク質中心のメニューにするのもおすすめです。
タンパク質は、身体の修復に不可欠な栄養素であり、良質な睡眠に必要なセロトニンの材料にもなります。
ぬるめのお風呂でリラックス
約38度のぬるめのお湯に25〜30分程度浸かると、副交感神経が優位になり自然な眠気を誘います。
じっくりと身体を温めることで緊張が和らぎ、リラックス効果も期待できるため、スムーズに入眠できるでしょう。
リラックスできる音楽を聴く
副交感神経が優位になる「ヒーリングミュージック」を聞くことで、リラックス効果が期待できます。
就寝時に川のせせらぎや森の中の自然音などを聞いて、心身をスムーズに休息モードへ切り替えましょう。
アロマでリラックスする
アロマには、副交感神経を優位にして心身をリラックスさせる効果があるため、睡眠の質を高めるのに効果的です。
好きな香りのアロマを見つけて、就寝前にじっくり香りを楽しむ習慣をつけてみてはいかがでしょう。
室温・光を調整して心地よい空間にする
最適な睡眠環境には、室温のこまめな調整が欠かせません。
睡眠中に体温調節がうまくできないと、寝つきが悪くなる原因になるためです。
また、部屋をできるだけ暗くして寝ると、朝の強い光に身体が反応してスムーズに覚醒しやすくなります。
温かい飲み物で眠気を促す
温かい飲み物を飲むと、身体の内側から体温が上昇します。
自然な眠気は体温の低下とともに感じるため、就寝前にホットドリンクで体温を上昇させることで、スムーズに身体を休息モードに切り替えられるでしょう。
おすすめの安眠ドリンクを3つご紹介します。
・白湯
白湯は、胃腸を優しく温めてくれます。
手軽に睡眠の質を高めたい人におすすめです。
・生姜湯
生姜湯には、血行を良くして身体の冷えを改善する効果があります。
市販の生姜湯には砂糖が多く使われていることもあるため、白湯に生姜パウダーを入れるのがおすすめです。
・カモミールティー
カモミールティーは、心身の緊張をほぐすリラックス効果だけでなく、安眠効果や冷えの改善効果も期待できます。
また、蒸気(湯気)には鼻づまりを改善する効果があり、就寝中に口呼吸になるのを防ぎます。
自分に合った寝具選びをする
良質な睡眠環境を作るには、機能性に優れた寝具を使うことが大切です。
睡眠中の発汗や温度変化に対応できる、吸湿性や放湿性の良い寝具を使いましょう。
また、自分の体型に合った寝具を使うことも快眠に効果的です。
体のS字カーブがバランスよく支えられるものを選びましょう。
特に、マットレスや枕が体に合っていないと、睡眠中の血行不良を防ぐ寝返りが打ちにくくなり、睡眠の質にも影響します。
たとえ好みの高さや硬さの寝具でも、腰痛や肩こりなどの不調を感じている場合には、寝具の見直しをおすすめします。
マットレスや枕を選ぶ際には、以下のポイントを押さえて選びましょう。
マットレス
・理想的な寝姿勢を維持できる
・体圧分散性に優れている
・寝返りが打ちやすい
枕
・首の隙間を埋められる
・自分に合った寝姿勢を取りやすい
・素材が体質に合っている
睡眠は長さだけではなく質も重視して、健康な生活を心がけましょう
睡眠で心身の疲れを取るためには、睡眠時間にこだわるだけでなく睡眠の質を高めることも非常に重要です。
しっかり寝ても疲れが取れていないと感じるのであれば、良質な睡眠を取ることを意識して生活してみましょう。
ちょっとした生活習慣の見直しでも、睡眠の質は向上します。
また、どうしても十分な睡眠時間の確保が難しいという場合にも、今回ご紹介した「睡眠の質を高める方法」は快眠に効果的です。
まずは、できることから安眠習慣を取り入れてみてください。