「突然、寝汗がひどくなった」「朝起きると寝汗でびっしょり……」「寝汗が気になり夜中に何度も目が覚める」このような寝汗の悩みを抱えている方は少なくありません。仕事やストレスなど、さまざま原因で寝汗をかくことがあります。
そこでこの記事では、寝汗の原因や対策方法について解説します。気をつけたい病気が隠れている可能性があるため、寝汗は早めの対策がとても大切です。寝汗でお悩みの方は、ぜひ参考にご覧ください。
寝汗をかく原因5選
ストレスやホルモンバランスの乱れなど、寝汗はさまざまな原因で起こります。ここでは、寝汗の原因を5つ紹介します。なかには病気が潜んでいるケースがありますので、寝汗が気になる方はぜひご覧ください。
1. ストレス
ストレスによって自律神経が乱れ、寝汗につながる場合があります。内臓や呼吸器の働き、体温調整などをコントロールしているのが、自律神経です。自律神経には身体を活発に動かすときに働く「交感神経」とリラックス時に優位となる「副交感神経」があり、この2つがバランスを取り心身の健康を保っています。
しかしストレスにより自律神経が乱れると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ体温調整が機能せず、寝汗が増える原因となります。多量の寝汗を予防するには、ストレスを溜め込まないことが大切です。
2. ホルモンバランスの乱れ
生理前や妊娠中は基礎体温が上昇するため、寝汗をかきやすくなります。生理のたびにひどい寝汗に悩んでいる方は、周期を把握することで対策が立てやすくなるでしょう。個人差はあるものの妊娠中の高温期は15週ころまで続き、安定期に入ると寝汗は自然に落ち着く傾向にあります。
更年期になると、女性ホルモンの不足によって自律神経が乱れ、寝汗をかく場合があります。サプリメントや漢方で寝汗が改善するケースもありますが、良くならないのであれば、産婦人科で専門医に相談してみると良いでしょう。
3. お酒の飲み過ぎ
アルコール量が適正値を超えると身体にさまざまな症状があらわれ、そのひとつが寝汗です。摂取したアルコールは肝臓内でアセトアルデヒドという物質に変化し、水と二酸化炭素に分解されます。
水は汗や尿となって体外へ排出されるため、アルコールを摂り過ぎると寝汗が多くなる原因となります。1日のアルコール適正量は、ビールなら500ml、日本酒は1合(180ml)が目安です。寝汗を予防するには、週に何日か休肝日を作ると良いでしょう。
4. 睡眠環境の影響
寝室の温度・湿度が適正に保たれていないと、睡眠の質が低下し寝つきが悪くなったり多量の寝汗をかいたりすることがあります。寝室の湿度は年間を通じ、50〜60%に保つことが良いとされています。室温は季節により異なり、夏は26℃前後、冬は17℃前後が適温です。
室内の湿度や温度を一定に保つために一晩中エアコンをつけっぱなしにするのは控えましょう。体温調整がうまくコントロールできなくなり、かえって寝汗の原因につながります。
5. 病気が隠れている可能性
病気のサインとして寝汗をかく場合があります。たとえば甲状腺に異常があると、多量の汗が出ることがあるため注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群の症状としても、多量の寝汗が挙げられます。
動悸や手の震えなど寝汗以外の症状がみられる場合や、ひどい寝汗の原因が思い当たらないといった場合も、念の為に医療機関で検査を受けましょう。
寝汗を放置していはいけない3つの理由
寝汗のなかには病気が潜んでいる可能性があります。そのため「たかが寝汗」と放置するのは良くありません。また寝汗を放っておくと、以下のようなトラブルにつながることがあります。
1. 体臭の原因となる
ストレスを強く感じたときに「いつも以上に汗の臭いが気になる」ということはありませんか。過剰なストレスにより血液中のアンモニア濃度が上昇し、血液や皮膚から「疲労臭」と呼ばれるツーンとした臭いがしみ出します。
また、過剰にアルコールを摂取することで疲労臭は起こります。体臭を予防するには、起床後にシャワーを浴びて汗を洗い流す習慣をつけると良いでしょう。
2. 肌のトラブルにつながる
多量の汗をかくと体内の水分が減少し、乾燥肌の原因につながります。たくさん汗をかくと汗管が詰まって肌内部に炎症を引き起こし、あせもやニキビといった肌トラブルを引き起こすこともあります。
寝ている間に無意識に肌をかきむしってしまう方には、乾燥やかゆみを抑える薬の使用がおすすめです。汗をシャワーで流した後はタオルでゴシゴシと擦らず、肌を優しくおさえるようにして水分を拭き取りましょう。摩擦は肌荒れを悪化させる原因となりますので、注意が必要です。
3. 寝不足になる
「多量の寝汗で夜中に何度も起きてしまう」「寝汗が気になって寝つきが悪い」など、ひどい寝汗によって睡眠不足になってしまうケースがあります。なかには起床時にだるさや頭痛といった不調を感じる方もいるため、注意が必要です。
また、汗が染み込んだパジャマやシーツには雑菌が繁殖しやすく、放置するとカビやダニが発生する原因になります。汗とともに皮膚の熱が奪われると風邪を引きやすくなるため、体調管理の面において寝汗を放置しないようにしましょう。
寝汗対策にできる4つのこと
多量の寝汗は不快に感じるだけではなく、毎日の睡眠や健康面にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。ここでは、寝汗の量が多いときに試したい4つの対策方法を紹介します。
1. ストレスを減らす
ストレスを抱えると、自律神経が乱れ体温調整の機能を低下させ、寝汗がひどくなる原因となります。ストレスを減らすためには、毎日の中にリラックスする時間を意識的に取り入れることが大切です。
たとえば、好きな香りの入浴剤でゆっくり半身浴すると副交感神経が優位に働き、心身ともリラックスできます。ラベンダーやローズマリー、カモミールなどリラックス作用のあるアロマオイルもストレス緩和におすすめです。手軽に取り入れたい方は、シュッとひと吹きで香りが広がるスプレータイプのアロマが便利です。
2. 寝具を見直す
吸水性・吸放湿性が高い寝具は、寝汗によるベタつきを軽減してくれます。特にシルクや綿、麻は汗を吸収し、速乾性があるのでおすすめです。寝汗によるストレスを和らげるほか、多量の汗が引き起こす寝冷え対策や風邪予防にも効果的です。
寝室の温度や湿度の調整も寝汗対策には欠かせません。除湿機や扇風機を使いながら、温度や湿度をコントロールして寝汗対策に活かしましょう。
3. 就寝前に水を飲む
臭いを感じるベタベタした寝汗にお悩みの方は、睡眠前にコップ一杯(200ml程度)の水を飲むと良いでしょう。水分を摂取するとサラサラした汗に変化するため、寝汗による不快なベタつきが軽減されます。
就寝前の水分補給は寝汗による不快感を和らげるほか、発汗に伴う肌トラブルを防ぐ効果もあります。水分を取ることで手足から発汗し身体内部の「深部体温」を下げるので、深い眠りに入りやすくなり睡眠の質が向上します。
4. 生活リズムを整える
自律神経は、不規則な生活やストレスの影響を受けやすいのが特徴です。自律神経を安定させ大量の寝汗をかかないためには、ストレスをできるだけ溜め込まないことはもちろん、規則正しい生活リズムを整えることが大切になります。
食事や起床時間を一定にすると体内時計のリズムが整い、自律神経は安定しやすくなります。睡眠不足による自律神経の乱れも寝汗の原因のひとつです。休日の寝溜めや夜更かしは控えて生活習慣を見直すと、大量の寝汗をかかないようになるでしょう。
寝汗を減らして快適な眠りを手に入れよう
寝汗による不快感でお悩みの方は、毎日の生活習慣を少し見直すところから始めてみましょう。睡眠環境や生活リズムを整え、ストレスを溜め込まないように心がければ自律神経は安定しやすくなります。
何らかの病気のサインで寝汗が起こる場合があります。はっきりとした原因がわからない方は、念のために専門医に相談してみると安心です。ひどい寝汗は身体面だけではなく、精神面にも悪影響を及ぼす可能性があります。きちんとした対策を早めにとり、快適な睡眠ライフを手に入れましょう。