「寝ているはずなのに疲れがとれない」「寝覚めが悪い」「やる気が起こらない」といった不調は、眠りが浅い人の特徴です。厚生労働省の調査によると、20歳以上の男女のうち約5人に1人が「睡眠の質に満足できない」と回答しています。睡眠不足はうつ病や生活習慣病などのリスクを高めるともいわれ、早期の適切な対処が肝心です。
この記事では眠りが浅い人の特徴や、眠りの質を高める方法をお伝えします。心身の健康は良い睡眠から始まります。仕事や家事の効率を高めたい方にも役立つ内容ですので、ぜひご覧ください。
眠りが浅い人の特徴3選
眠りが浅い人には、以下のような特徴があります。
- 夜中に目が覚めることが多い
- よく眠れた実感がない
- 日中に眠気を感じる
順番にみていきましょう。
1. 夜中に目が覚めることが多い
夜中に何度も目を覚ますのは、眠りが浅い人の特徴です。小さな物音やくしゃみなど、わずかな外的刺激にも敏感に反応し、中途覚醒の原因となります。
中途覚醒自体は危険回避のひとつで、もともと人間に備わる生理現象です。その後すぐに深い眠りにつければ問題はありません。しかし深い眠りに戻れず朝まで眠れなくなる場合、不眠が悪化することもあるため注意が必要です。
2. よく眠れた実感がない
「睡眠時間は十分とっているのに眠った気がしない」と感じるのも、眠りが浅い人の特徴です。睡眠にはサイクルがあり、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を約90分周期で繰り返しています。
しかし睡眠サイクルに異常が生じると、レム睡眠が続くような状態となり、眠りが浅くなります。「ベッドに入っても30分以上眠れない」「起床時間の30分以上も早く目が覚めてしまう」と感じることも、睡眠サイクルが乱れている証拠のひとつです。
3. 日中に眠気を感じる
昼間についウトウトと眠くなってしまうのは、眠りが浅くなっているサインです。寝不足が続くと睡眠と覚醒があいまいになり、昼間に強い眠気が生じやすくなります。
座って本を読んでいるときや書類を作成するときに眠気を感じる方は、注意が必要です。集中力の低下によって仕事でミスが増えてしまったり、思うように家事や育児が進まなかったりしてストレスを感じる原因となります。
眠りが浅くなる理由5選
睡眠は生活習慣と深い関係があります。ストレスの蓄積や不規則な生活は眠りが浅くなるのを助長するため気をつけたいところです。ここでは、眠りが浅くなる理由を5つ紹介します。
1. ストレスを抱える
ストレスによって心身の緊張状態が続くと自律神経が不安定になり、交感神経が優位に働きます。交感神経は脳を興奮状態にさせるため、深い眠りに入りづらくなるのです。浅い眠りが続くと脳も身体も休まらず、どれだけ寝ても疲れがとれにくくなります。
また疲労の蓄積によってホルモンバランスが崩れると、吹き出物や月経不順といった不調が起こりやすくなります。生活習慣病のリスクが高くなるため、日頃からストレスを溜めない工夫をしましょう。
2. 眠りのリズムが乱れる
体内時計のリズムが乱れると、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制され眠りが浅くなります。不規則な生活は、自律神経やホルモン分泌、臓器の働きをコントロールしている「体内時計」を乱す原因となるため注意が必要です。
また、就寝前のテレビやスマホ操作も睡眠に悪影響を及ぼします。強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制されるため、寝る前のテレビやスマホ操作はなるべく控えましょう。
眠りのリズムを整えるには、日光浴がおすすめです。毎朝同じ時間に太陽を浴びると体内時計がリセットされ、夜に眠くなるリズムが自然に整います。
3. 口呼吸になる
眠りが浅い人のなかには、普段から口呼吸がくせになっているケースがあります。口呼吸は鼻呼吸と比べ、呼吸が浅くなってしまうのが注意点のひとつです。口呼吸を続けていると、脳に取り込む酸素量が低下し、覚醒反応が起こり目が覚めることがあり、眠りが浅くなります。
また、口呼吸は脳を酸欠状態にし、頭痛や肩こりにもつながります。口呼吸は外気のダニやホコリ、ウィルスを直接肺へと吸い込み免疫力が低下するため病気のリスクが高くなるのです。
4.カフェインを取りすぎる
コーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物を摂取すると脳が覚醒し、眠りが浅くなります。カフェインの覚醒作用が減少するまでには4〜6時間程度かかるため、就寝前は控えるのが良いでしょう。どうしてもコーヒーや紅茶が飲みたい場合、ノンカフェインがおすすめです。
また、過剰なアルコール摂取も睡眠の質を低下させる原因のひとつです。お酒を飲むと一時的に眠気が生じますが、体内でアルコールを分解する過程で脳が活性化し、眠りが浅くなります。ビール500mlの場合、アルコールが抜けるまで4〜6時間程度かかるといわれます。カフェイン同様、就寝前のアルコール摂取はなるべく控えましょう。
5. 生活習慣が乱れる
寝る前にスマホのブルーライトを浴びると、睡眠ホルモンが抑制され眠りが浅くなってしまいます。慢性的な睡眠不足は、生活習慣が乱れる原因です。睡眠の質を高めるために、スマホ操作は就寝前の1〜2時間前までに終えるのが望ましいです。
また、環境の変化や人間関係の悩みなど、精神的なストレスによって眠りが浅くなるケースもあります。睡眠の質の低下は体調面にも影響を及ぼすため、日頃からストレスを溜め込みやすい方は注意が必要です。
眠りが浅いと病気のリスクが高まる
眠りが浅いと、以下のような生活習慣病のリスクが高まる傾向にあります。
- 高血圧
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 肥満
- 糖尿病 など
「疲れやすい」「身体がだるい」といった不調も、睡眠不足の特徴です。一時的なものであれば問題ありませんが、睡眠不足が慢性化すると「やる気が起きない」「食欲がわかない」など、うつ病を発症するケースもあります。
特に働き盛りの30〜50代は仕事や家事、育児に追われて寝不足になりがちです。心身の健康を保ち、仕事の集中力・判断力を高める意味でも十分に睡眠を取るようにしましょう。
【今日からできる】眠りが浅いときの対処法3選
ここでは、睡眠の質を高める方法を3つ紹介します。眠りが浅いとお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
1. 身体を温める
湯船に浸かって身体の体温を一時的に上昇させると、入浴後に深部体温が低下し自然な眠気が誘発されやすくなります。睡眠の質を高めるためには、就寝の1時間前くらいには入浴を済ませるのが良いでしょう。入浴にはリラックス作用があり、シャワーで済ませるよりも深い睡眠へ入りやすくなります。
入浴時間がとれないときは、温かい飲み物を飲むのがおすすめです。「全身が温まった」と脳が判断し、浅い眠りの改善につながります。飲む量はコップ1杯(200ml程度)が目安です。内臓が温まると心身をリラックスさせる副交感神経が優位に働き、自然な眠気が生じます。寝る前の水分補給は、就寝中の水分不足を防ぐ役割もあります。
2. 食生活を見直す
寝る直前に食事を摂ると身体が消化にエネルギーを使ってしまい、眠りが浅くなります。食べ物が消化されるまでには、3時間程度かかるといわれます。睡眠の質を高めるためには、最低でも就寝の3時間前までに食事を済ませましょう。
どうしても空腹で眠れないときは、おかゆやうどん、味噌汁など消化に良い物を食べると良いでしょう。ただし、満腹になるまで食べると、胃腸に負担がかかり胃もたれや胸焼けの原因となります。たとえ消化に良い食べ物であっても、寝る前の食事は少量に留めましょう。
3. サプリメントや漢方薬を飲む
眠りが浅いときの対処法として、睡眠をサポートするサプリメントや漢方薬を取り入れるのもひとつの方法です。寝不足による慢性疲労は、疲労回復に効果的なアミノ酸を含むサプリや漢方がおすすめです。アミノ酸の一種であるグリシンには深部体温を下げる働きがあり、寝る前に摂取すると深い睡眠へと導いてくれます。
眠りが浅く気持ちが不安定になりやすい方は、漢方薬の加味帰脾湯(かみきひとう)が適しています。サプリや漢方は用法容量を守り、正しく服用しましょう。少しでも異常を感じた場合はすぐに服用を止め、医師や薬剤師に相談してください。
眠りが浅くなる特徴を避けて今日からぐっすり寝よう
眠りが浅くなる理由の多くは、日常生活の中にあります。睡眠不足は病気のリスクを高め、仕事や私生活に支障をきたすことがあります。睡眠は心身の健康と深く関係しているため、早期にきちんと対処すれば、今抱える不調を改善できるでしょう。
眠りが浅くなる特徴を知ることは、良い睡眠を得るための第一歩です。ぜひこの機会に毎日の生活を改めて振り返り、ご自身の睡眠を見直してみませんか。心地良い睡眠を実感できれば体調が整い、1日を気持ちよくスタートできます。