最近、動悸が起こりやすくなっていませんか?もしかすると、動悸の原因は寝不足にあるのかもしれません。対処せず放置してしまうと、息切れやめまい、吐き気などの症状を引き起こす恐れがあります。
そこでこの記事では、なぜ寝不足になると動悸が起こるのか、その原因をくわしく解説します。動悸の特徴や、寝不足の解消法も紹介しますので、併せてチェックしてみてください。
寝不足が原因で動悸が起こる理由3選
寝不足で動悸が起こりやすくなるといわれても、ピンとこない人もいるでしょう。ここでは、寝不足と動悸がどのようにつながっているのか、その関係性について解説します。寝不足が原因で動悸が起こる理由は、主に以下の3つです。
- 自律神経の乱れ
- ストレス
- 不整脈
最近、動悸が起こって気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 自律神経の乱れ
寝不足が続くと自律神経が乱れ、身体を休ませる「副交感神経」への切り替えがうまくできなくなります。心身を活発にする「交感神経」が優位になった状態のままとなり、心拍数や血圧を調整する働きが乱れて、動悸が起こりやすくなります。
また自律神経の乱れは、息切れやめまい、吐き気、頭痛、肩こりなどを引き起こすことも。とくに、心臓病を患っている人は交感神経が優位になりやすいので、少しの寝不足でも、自律神経が乱れて動悸が起こる可能性があります。
2. ストレス
睡眠時間が足りないと「コルチゾール」というホルモンの分泌量が変動します。コルチゾールとは、ストレスから身を守るホルモンのことです。ホルモンの分泌量が最も多いのは朝で、夜になると減少します。
しかし寝不足になると、朝のホルモン分泌量が減るため、ストレスを受けやすくなります。ストレスを溜めると自律神経が乱れてしまい、動悸が起こりやすくなります。
- 不整脈
慢性的な寝不足は、自律神経を乱し不整脈を起こすことがあります。就寝前のリラックスしているときの動悸は、心臓の収縮が一時的に不規則になったことが原因なので、とくに心配する必要はありません。
しかし、息切れやめまいとともに起こる動悸には、注意が必要です。血液を貯蔵する心房が、通常より細かく動き続ける「心房細動」という不整脈の一種になっている可能性があります。
心房細動は心臓に大きな負担がかかり、心不全や脳梗塞につながることがあります。息切れやめまいを伴う動悸が数日続く場合、医師の診察を受けるのが良いでしょう。
寝不足で起こる動悸の特徴
寝不足が原因で起こる動悸は「洞性頻脈(どうせいひんみゃく)」であることがほとんどです。洞性頻脈とは「トットットットットット…」と脈のリズムが一定に速くなる状態のことです。運動した後や緊張しているときにも見られます。
洞性頻脈は寝不足だけではなく、過度なストレスや貧血、更年期によるホルモンバランスの乱れによって起こる場合があります。動悸を改善したいのなら、原因を見極めることがポイントです。
また脈が速くなる場合、不整脈である可能性が高いため治療が必要です。放置せず、早めに医師に相談するのが良いでしょう。
動悸を起こさない寝不足解消にできること
動悸を起こさないために、睡眠を見直しましょう。ここでは、寝不足解消法として、以下の7つを紹介します。
- 漢方薬を飲む
- 就寝前に湯船に浸かる
- 就寝しやすい環境にする
- 朝に光を浴びる
- 日中に適度な運動をする
- 睡眠時間を確保する
- 寝具を見直す
それぞれくわしく解説しますので、動悸が気になっている方は参考にしてみてください。
漢方薬を飲む
自律神経の乱れやストレスが原因の場合、漢方薬を飲むと改善するケースがあります。漢方薬には血を補い、精神を安定させて不眠症を改善するものがあり、心身とも疲労しているときにおすすめです。イライラして精神が安定しない方は「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうコツぽれいとう)」などを飲むと寝不足解消に期待ができるでしょう。
生活環境が変化しやすい春先や、受験やプレゼン前など緊張しやすい時は、血圧が不安定になりやすいです。寝つきが悪くなるため、睡眠不足に陥りやすくなります。些細なことが気になったり緊張しやすい方は「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」などの漢方薬で全身の調和を整えて精神を安定させると、質の高い睡眠がとれるようになります。
漢方薬といっても範囲が広いため、もう少し具体的な漢方薬の提案があってもよいのではないでしょうか?
就寝前に湯船に浸かる
寝不足を解消するには、入浴が効果的です。体温が上昇してから下がり始めるタイミングで、眠気が誘発されます。入浴によってリラックス状態になり、スムーズに入眠できる上、質の高い睡眠がとれるようになります。
入浴するタイミングは、就寝する90〜120分前がおすすめです。ただし、湯船の温度が高すぎると身体が興奮状態となり、寝つきを悪くする恐れがあります。入浴は38℃のぬるま湯に25〜30分、半身浴の場合は約40℃の湯船に30分ほど浸かるのが良いでしょう。
就寝しやすい環境にする
就寝しやすい環境にすることで、入眠がスムーズになり、睡眠の質を高められます。たとえば寝る前にストレッチで筋肉を伸ばすと、緊張やコリがほぐれ血流が良くなり、1日の疲れがとれやすくなります。アロマや音楽を活用し、心を落ち着かせるのもおすすめです。
また就寝しやすい部屋の温度は、13〜29℃です。湿度は50%前後に調整すると、就寝時に最適な環境を作れます。
朝に光を浴びる
起床後はカーテンを開けて、朝日を浴びるようにしましょう。太陽光には体内時計をリセットし、活動的にする作用があります。光を浴びないと体内時計がズレたままとなり、頭がスッキリしなかったり身体がだるく感じたりするでしょう。
また太陽光を浴びると、睡眠ホルモンの「メラトニン」を分泌します。眠りのリズムが整えられ、夜に眠気が促進され睡眠の質を高められます。
日中に適度な運動をする
適度な運動は程よい疲労感となり、快眠につながります。実際、軽めの運動を1時間程度行った後に就寝すると、深い睡眠につながったという研究結果があります。また運動は、気分をリフレッシュさせ、自律神経の乱れを整えるのに効果的です。
人は体温が上昇し下がり始めるタイミングで眠気が誘発されます。就寝前にウォーキングやストレッチなど軽めの有酸素運動を行うと、スムーズな入眠と質の高い睡眠につながるでしょう。
睡眠時間を確保する
寝不足を解消するには、十分な睡眠時間を確保することが大切です。どんなに睡眠の質が良くても、時間が足りなければ寝不足になります。睡眠時間を削るような生活を送っていないか、一度見直してみるのが良いでしょう。
また必要な睡眠時間は、人によって異なります。どのくらいの睡眠時間が必要なのか、把握することがポイントです。たとえば、1週間に7時間の睡眠をとり続けてみて、日中に眠くならないかどうかを調べます。
日中に眠くなるなら、睡眠時間が足りていない証拠です。7時間よりも長めの睡眠をとるように調整してみましょう。逆に、アラームが鳴る前に起きたり、なかなか寝つけなかったりするときは、睡眠時間を短くしてみてください。
ただし「睡眠負債」がたまると、動悸が起こる可能性があるためご自身の健康に影響を与えない程度で試してみることが大切です。動悸が起こってしまったら時間が足りない可能性があるため、もう少し睡眠を取るのが良いでしょう。
睡眠時間を短くする、という提案は逆説的で面白いと思うので、もう少し説明がほしいです。動悸対策としての提案なので、健康に影響を与えない範囲で試すことが無難であることに触れつつ、睡眠時間を短くする→なになにが生じる→睡眠時間が長くなる、という流れを若干追記願います。
寝具を見直す
「十分寝たはずなのにスッキリしない」という場合、寝具を見直してみましょう。寝具は、睡眠の質に影響する重要なアイテムです。寝具が自分に合っていないと、疲れがとれなかったり寝た気がしなかったりすることがあります。
たとえば「朝起きると身体が痛い」という場合、寝返りが打ちづらく身体が固まっているのかもしれません。身体が痛いときは、ついつい柔らかい寝具を選びがちですが、かえって寝返りを阻害して逆効果ということもありますので、しっかりと身体を支えてくれるものを選ぶのも大切です。また通気性が悪い寝具は、睡眠中の汗がこもり寝心地を悪くすることがあります。寝具を選ぶときは、寝返りのしやすさや通気性の良さで選んでみてください。
寝不足を減らして動悸を起こさないようにしよう
脈のリズムが一定に速くなる動悸は、病気ではなく寝不足が原因の可能性があります。動悸を起こさないためには、十分な睡眠時間の確保と質の良い眠りをとることが重要です。
今回紹介した寝不足解消法は、いずれもすぐに実践できるものばかりです。まずはできるところから始めてみてください。寝不足が解消されれば、動悸に悩まされずに済むでしょう。