仕事中に突然眠気を感じて困ったことはありませんか。眠気を感じると集中力や注意力が低下して仕事に影響を与えかねないため、対処法を知っておきたいですよね。
そこで本記事では、眠気を引き起こす原因や突然の眠気を覚ます4つの対処方法、昼間に眠気を感じにくくするためのコツなどを紹介します。眠気に困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
人はどんなときに眠気を感じやすくなる?
人が日中に眠気を感じやすくなるのは、夜の睡眠の質が悪い、体内時計が乱れているなど、いくつかの原因が考えられます。もしかすると睡眠障害の可能性も……。まずは、人が眠気を感じやすくなる原因を確認しておきましょう。
夜の睡眠の質が悪い
寝付きが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまうなど、夜間の睡眠の質が悪いと日中に眠気を感じやすくなります。睡眠の質が悪いことに気が付いている方もいますが、自分では気が付いていない方も少なくありません。
睡眠の質を低下させる原因としては、「日中の過ごし方」「寝具や室温など寝室の環境」「ストレス」が挙げられます。
また、就寝前にブルーライトを発するスマートフォンを操作すると、睡眠の質が低下するので控えましょう。
睡眠時間が不足している
睡眠時間が不足している場合も、日中に眠気を感じやすくなります。慢性的な睡眠不足は日中の眠気を引き起こすだけでなく、精神面に影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。
とはいえ、睡眠時間は何時間以上あればよいのか気になりますよね。厚生労働省によると、人が快適だと感じる睡眠時間には個人差があるとされています。
また、必要な睡眠時間は、たとえば10代なら8〜10時間、60代以上なら平均6時間弱と年齢によっても異なるようです。
体内時計が乱れている
体内時計が乱れると、メラトニンの分泌が正常に行われなくなり、日中にも眠気を感じやすくなります。メラトニンとは、脳内の松果体(しょうかたい)という脳器官から分泌されるホルモンです。メラトニンには、眠りを促すほか、細胞の新陳代謝を活発にするなどさまざまな効果があるとされています。
メラトニンは正常な体内時計のもとで適切に分泌されますが、体内時計の働きが乱れると分泌が抑えられてしまいます。メラトニンの分泌量が減ると、睡眠と覚醒のリズムが乱れて睡眠の質も落ちるため、日中も眠気を感じやすくなるのです。
脳のブドウ糖が不足している
眠気は血糖値の急激な変化とも関係しています。血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、食事をするとゆるやかに上昇して時間とともにゆるやかに下がっていくのが一般的です。
ところが、血糖値が急激に上がったり下がったりする「血糖値スパイク」の状態になると、脳のブドウ糖が不足して急激な眠気に襲われてしまいます。食後に眠気を感じるという場合は、この血糖値スパイクが原因の可能性があります。
睡眠障害の可能性も
日中に強い眠気を感じるにも関わらず上記の原因に当てはまらない場合は、睡眠障害の可能性もあります。睡眠障害とは過眠症や不眠症、睡眠時随伴症など、睡眠に関するさまざまな病気のことです。細心の注意が必要な場面でも眠り込んでしまうなど、日常生活に支障をきたす場合は専門家を受診しましょう。
眠気を覚ます方法とは
日中の眠気を感じたときは、カフェインやブドウ糖など何かを口に入れる、体を動かす、短時間の仮眠を取るなどして眠気を覚ます方法があります。ここでは、眠気を覚ます具体的な対処法を紹介します。
カフェインを摂る
眠気を感じたときに何かを口に入れると、腸がびっくりして脳が活性化され、眠気が覚めやすくなります。特におすすめなのがカフェインを含んだ飲み物や食べ物です。なぜなら、カフェインには中枢神経を興奮させる作用があるからです。
カフェインを含む飲み物には、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、エナジードリンクなどが挙げられます。特に、エナジードリンクは製品によってコーヒーや紅茶よりも多くのカフェインを含んでいるものもあります。食べ物ならチョコレートや、紅茶などの茶葉を使用したお菓子などです。
カフェインを摂取してから効果が現れるまでには30分程度かかるため、大切な会議や集中したいイベントが始まる少し前に摂取すると効果的です。
ただし、就寝前にカフェインを摂取してしまうと寝付きが悪くなるので注意しましょう。
少量のブドウ糖を摂る
妊娠中の方やカフェインが苦手な方には、脳のエネルギー源となるブドウ糖を少量摂取して脳を活性化させる方法があります。少量のブドウ糖は低血糖による眠気を改善してくれます。ブドウ糖を多く含む食べ物は、たとえば干しブドウやバナナ、プルーンなどのドライフルーツ、ラムネ、はちみつなどです。
ただ、ブドウ糖は過剰に摂取すると、肥満や糖尿病などを引き起こすリスクがあるので、摂取量には注意が必要です。
体を動かして血行をよくする
体を動かして血行をよくすることで眠気を覚ます方法もあります。デスクワークなどでずっと同じ姿勢を続けていると、筋肉が硬直して血行が悪くなります。そこで、血行を良くすれば交感神経が優位になり、眠気を覚ますことができるのです。
簡単に血行をよくするには、背伸びや屈伸運動をして筋肉を動かすなどのストレッチがおすすめです。ストレッチが難しい状況の場合は、立ち上がったり手足を動かしたりするだけでも効果が期待できます。座ったまま脚を伸ばして足首が直角になるようにつま先を体側に引き寄せる、肩を前後に回すなど軽く動くのもおすすめです。
オフィスであれば、トイレに行ったり必要なものを取りに行ったりして少し歩くと気分転換にもなります。
思い切って仮眠しよう
どうしても眠気が覚めない場合、状況が許すのであれば、思い切って10〜20分程度の仮眠を取るのも1つの手です。
昼間に20分程度の仮眠を取ると、眠気が解消されたり認知能力や注意力が向上したりすることが、NASAの実証実験によって確認されています。その実験では、26分間の仮眠により認知能力は34%、注意力は54%アップしたのだとか。
効果的に仮眠を取るためにはいくつかのコツがあります。仮眠は椅子に座った状態で取る、カーテンを閉めたりアイマスクをしたりして光を遮る、雨音や波の音などホワイトノイズと呼ばれる音を聞くなどです。
また、先述したとおり、カフェインを摂取すると30分程度で中枢神経を覚醒させる効果が期待できます。仮眠する少し前にカフェインを摂取しておくのもおすすめです。ただし、夕方に仮眠を取ると夜に眠れなくなるため、仮眠は日中にしましょう。
眠気を予防する方法
食事を軽めにする、寝だめをしない、よく眠れる工夫をするなど、日中の眠気を予防する方法も意識してみましょう。ここでは、眠気が来る前にできる対策を紹介します。
食事は軽めに
お腹がいっぱいになると血糖値が上昇して脳にブドウ糖が届かなくなるため、眠気を感じやすくなってしまいます。
特に、大切な会議や取引など絶対に眠れない、眠気を感じると困るといったイベントが控えているときは、直前の食事を満腹になるまで食べずに軽めに済ませておくのがおすすめです。
また、血糖値スパイクが生じてしまわないよう、早食いをしない、野菜や海藻類から食べるなど、食事の摂り方も意識してみましょう。
寝だめはNG
「睡眠時間が足りないなら寝だめをすればよいのでは?」と思ってしまいますよね。確かに、時間のある休日にたくさん寝れば睡眠不足が解消した気分になります。しかし、普段と違った睡眠を取ると体内時計が乱れてしまいます。
実際に、コロラド大学の研究チームが科学雑誌に発表した実験によると、週末に寝だめをしたグループは平日の就寝時間が遅くなる上に、睡眠時間が増えたのは1日1時間程度だったのだとか。体重の増加も見られたため、寝だめには悪い影響があるようです。
睡眠の質を上げる
眠気を予防するためには、睡眠の質を上げることも大切です。まずは就寝時間と起床時間を決めて睡眠時間を固定し、生活リズムを整えましょう。
夕食の時間や食事内容も意識します。就寝時に食べ物が胃の中に残っていると、食べ物を消化するために胃腸が働き続けなければならず、なかなか深い眠りに入れません。夕食は就寝の3時間前までに済ませておくのが理想です。
また、中枢神経を興奮させるカフェインや、覚醒作用のあるアセトアルデヒドを発生させるアルコールを摂取すると睡眠の質が下がるため、就寝前は控えるのがおすすめです。
寝室の環境を整えることも大切です。温度や湿度、寝具、照明などを工夫して、快適に眠れる環境をつくりましょう。
突然の眠気を感じたら試してみて
人が日中に眠気を感じるのは、睡眠の質や睡眠時間など、さまざまな原因が挙げられます。眠気を感じたときは、今回紹介した眠気を覚ます方法を試してみてください。突然の眠気で困ることのないように、食事や睡眠の取り方も意識して、眠気を予防しましょう。