とても忙しい生活を送っていると、睡眠時間を削ってでも行動できる時間を増やしたくなります。人よりも少ない睡眠時間でエネルギッシュに暮らしている人もいますが、それは誰にでも可能なのでしょうか。
この記事では誰でもショートスリーパーになれるのか、そして睡眠の質を高めることで少しでも睡眠時間を減らす方法を解説しています。
睡眠時間を減らしても毎日快適に過ごせる方法がわかるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ショートスリーパーになれる?
はじめにショートスリーパーの意味やメリット・デメリットなどを解説しますね。
ショートスリーパーとは?
NHK放送文化研究所による2020年度の国民生活時間調査によると、日本人の平均睡眠時間は約7時間です。ショートスリーパーとは、睡眠時間が6時間未満の人で、4時間ほどでも日中に眠気を感じない人のことを指します。
6時間寝ても睡眠時間が足りないなと感じる人がいれば、睡眠時間が4時間でも問題なく生活できる人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。
ショートスリーパーは遺伝?
実は、ショートスリーパーは、共通してある遺伝子配列が変異していることがわかっています。
つまり、ショートスリーパーになれるかどうかは遺伝子で決まっているのです。
ショートスリーパーになるためには
適切な睡眠時間は生まれ持った体質によって違います。無理に睡眠時間を減らそうとすると、健康に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
毎日7時間の睡眠をとっている人が4時間にするのは無理でも、睡眠の質を上げて数十分減らすことは可能なのでしょうか。
睡眠状態を記録してみよう
睡眠の質を高める前に、今の睡眠状態を記録してみましょう。睡眠の質を改善するためには、現状の睡眠を記録して、どこが良くてどこに改善点があるのかを把握しなければなりません。
この段落では、睡眠状態を記録するメリットや記録の仕方、振り返り方を解説しますね。
睡眠状態を記録するメリットは?
今の睡眠状態を記録すると睡眠の質を下げている原因がわかります。そして原因がわかれば対処方法を考えられます。睡眠の質が高くなれば、睡眠時間を減らせるかもしれません。
まずは1〜2週間、睡眠時間を記録してみてください。自分の睡眠状態の傾向が見えてきますよ。
睡眠状態を記録するツールは?
さまざまな睡眠状態を記録するツールが販売されています。睡眠状態を計測・記録できるスマートウォッチ、睡眠トラッカーアプリ、手書きの睡眠記録シートなどです。
スマートウォッチや睡眠トラッカーアプリは、振動やいびきなどを測定して、睡眠時間や睡眠の質を計測してくれます。
また、手書きの睡眠記録シートもあります。手帳に睡眠記録のページを作るのも楽しく続けられそうですね。
睡眠状態の記録の振り返り方
1〜2週間ほど睡眠状態を記録したら、自分の睡眠状態を振り返ってみましょう。ポイントは、どんなことをすれば寝付きや目覚めが良かったか、逆に寝付きや目覚めが悪かったか、夜中に目が覚めたか、などです。
このように睡眠状態を振り返ると、睡眠の質を高めるためには飲酒を控えて運動を増やす、寝る前に趣味で気晴らしをする、などの対策が考えられます。
睡眠の質を上げるためには?
自分の睡眠状態を把握した上で、実際にどんなことをしたら睡眠の質を上げられるのか、そして睡眠時間を減らすことができるのでしょうか。
睡眠の質を下げる食べ物に注意
睡眠の質を下げる食べ物や嗜好品に注意してみましょう。睡眠の質を下げる主な食べ物・嗜好品は以下のとおりです。
- カフェイン
- アルコール
- 脂っこい夜ご飯
- たばこ
主にコーヒーや紅茶に含まれるカフェインは、交感神経を活性化させ、神経を興奮させてしまいます。交感神経が興奮したままだと寝付きが悪くなり、睡眠も浅くなってしまいます。
カフェインの摂取を午後2時以降は控えてみましょう。遅くとも睡眠6時間前までにしてくださいね。
アルコールも睡眠の質を低下させます。アルコールを飲むとアルコールを分解するときに発生する「アセトアルデヒド」によって、睡眠が浅くなってしまいます。
アルコールは飲んでも少量に留めましょう。
ほかにも、胃腸への負担が大きい脂っこい夜ご飯や、ニコチンの覚醒作用があるたばこも睡眠の質を下げるため控えましょう。
睡眠の質を上げる食べ物は?
睡眠の質を高める栄養素はトリプトファン・グリシン・GABAなどのアミノ酸、マグネシウムなどです。
これらの栄養を含む、以下のような食品を積極的に摂りましょう。
・卵や、納豆などの大豆製品(トリプトファンが豊富)
・エビやカニ、鶏軟骨などのコラーゲンが豊富な食品(グリシンが豊富)
・トマト、バナナ(GABAが豊富)
・あおさ、わかめ、青のり(マグネシウムが豊富)
これらの食品を意識的に多く摂りつつ、バランスのいい食事を摂ることが重要です。
生活習慣に注意
睡眠の質を高めるには、生活習慣も重要です。テレビやパソコン、スマホなどの電子機器は、画面から「ブルーライト」が発せられています。このブルーライトは脳を覚醒させる作用があるため、睡眠前はできるだけ視聴を避けましょう。
睡眠1時間前には薄暗い部屋で過ごす、寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まないなどの対策が有効です。
また、運動不足も睡眠の質を下げます。適度な運動を行って睡眠の質を高めましょう。ただし、睡眠直前の激しい運動は身体を興奮させ、睡眠の質が下がってしまいます。睡眠の2〜3時間前には運動を終わらせてください。
また、夕飯も睡眠の2〜3時間前に終わらせましょう。胃腸が活発に働いたままだと、睡眠の質が下がってしまいます。
寝室の環境を良くする
寝室の環境を良くすることも重要です。睡眠は深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を繰り返しますが、寝室が暑すぎても寒すぎてもレム睡眠に悪影響をもたらします。室温は25度前後、布団の中は33度ほどが理想です。
ほかには、騒音も睡眠の質を低下させます。騒音が多い地域で暮らしている場合は、耳栓も有効です。
また、身体に合わない寝具を使っていると睡眠の質が低下します。寝具の見直しも検討してみてくださいね。
パワーナップで回復
夜の睡眠時間を減らすには、パワーナップ(仮眠)が有効です。最後に、パワーナップの効果とやり方、注意点について解説します。
パワーナップとは?
パワーナップとは、12〜15時にとる15〜30分ほどの仮眠のことを指します。パワーナップの効果はNASAの研究によって科学的にも実証済みなのだそう。入眠から20分のノンレム睡眠で脳の情報が整理されるため、短い睡眠でも頭がすっきりします。
近年では、外資系を中心に、パワーナップを導入している企業が増えているようですね。
パワーナップの効果
パワーナップをすると、集中力や認知機能が回復して仕事の生産性が向上します。また疲労回復の効果もあるため、午後の仕事のエネルギーを確保するためにも、とても有効です。
パワーナップの方法
パワーナップのやり方は簡単です。アラームを15〜30分の間にセットして、リクライニングの椅子に寝そべる、机に突っ伏すなど、楽な体勢で寝るだけです。
周りの音や照明が気になる場合には、アイマスクや耳栓も活用してみてくださいね。
パワーナップの注意点
パワーナップを行う場合、30分以上は寝ないようにしてください。30分以上寝ると睡眠が深くなりすぎて、夜の睡眠の質を低下させてしまいます。
また、仕事に遅れないようにアラームの設定を忘れないでくださいね。同僚に一声かけておくと安心です。
睡眠の質を高めて短時間の睡眠でも満足できるように
ショートスリーパーは遺伝子によって決まっています。無理に睡眠時間を減らすと健康を害するリスクがあります。しかし、睡眠の質を高めることで睡眠時間を数十分減らすのは、十分に可能です。
睡眠状態を記録して、ぜひ睡眠の質を上げる工夫をしてみてください。パワーナップも検討してみてくださいね。